【治験の“あれ”が最悪だった】治験アルバイト体験ルポ

※インタビュアーがいなかったので一人二役でお送りいたします
きさらぎエヴァンジェリスタが質問して
きさらぎエヴァンジェリスタが答えています

 

━━正確には、治験ボランティアというらしいですね。

はい。

私は、これまで、何度か治験に参加してきました。

簡単に言うと、まとまったお金が、短期間で手に入るからです。

一度目の参加を決めたのは、お金に困っていたからです。

━━怖くなかったですか?

そうですね。怖いというより、危ないというイメージは拭えませんでした。

━━それでも参加を決めたと?

そうですね。一度目の決意をした当時は、もう正直に言いますけど、会社も辞めて、一日中お酒を飲んで、パソコンしているような生活でした。

正確に言うと、会社を辞める数日前からは、休憩中にコンビニへ行って、酒をイッキしていました。

大人たちに支配されない、誰もいない道を進んでいると思っていたんですけど、気づいたら家賃も払えないような道を進んでいまして。

夢見た怠惰な生活は、一切、生産性のない、何のために生まれたのかわからなくなるような時間でしたね。

糞尿だけは、毎日生産していましたけど。

━━再び、就職する気はなかった?

少しはありました。でも、働きたくないでしょ。正直皆さん、働きたくないでしょ。

世界中の、どれだけの人が、毎日心の底から労働を楽しんでいるのかはわかりませんけど、9割くらいの人は、毎日働きたくないでしょ?

━━そうかもしれません。

でも、ジレンマなんですよね。働いていると嫌になるけど、辞めて何もすることがないのも嫌になってしまう。

強制される労働に人生を費やしているうちは、毎日苦痛で仕方ないと思うんですけど、その労働以外にやりたいことが無い人で、その労働が無くなったとき、もの凄い勢いで脳みそ退化しますよ。

話盛らずに話しますけど、当時、冗談抜きで言葉を発する機会が激減しました。

コンビニの店員さんには、毎回「ありがとうございます」っていうんですけど、本当にそれだけしか言わない生活が数ヶ月続きました。

頭がおかしくなるし、寂しいし、お金ないし。

━━それで、治験への参加と。

そうですね。

何チャラクラブやら、何チャラ会みたいな名称で、治験ボランティアを募集しているところがありまして。

そこに登録して、参加したいものにエントリーして、健康診断を受けるという流れでした。

━━怠惰な生活が続いてからの健康診断でしたね?

はい。お酒は肝臓の数値に影響が出ます。

肝臓の細胞が破壊されて、血液中に流れ出てしまうらしくて、数日前からアルコールの摂取は禁止されていました。

他にも、激しい運動は禁止されていました。

筋肉に負荷がかかると、これも血液中に何かが流れ出て、いけないらしいです。

━━アルコールへの注意は必要ですけど、運動に関しては大丈夫だったんじゃないですか?

それがそうでもなくて。

達成感や、生産性のない生活を続けていると、筋力トレーニングしたくなるんですよ。

トレーニングすると、脳からは幸福ホルモン出て気分が良くなるし、何かをやり遂げた気持ちになって、安心できるんですよ。

これが、心の安定にはもってこいでして。

もちろん、健康診断前にはやらないように気をつけていましたけど。

━━当日はどのような感じでしたか?

朝早くから、指定された施設に行きました。

人生にくたびれた覇気のないお前らのような人間共がたむろしていると思っていたんですけど、正直、皆さん、まともな身なりで、常識のある人たちでした。

まとまったお金を短期間で得るために割り切っている感じでした。

そして、尿検査、血液検査、血圧、心電図、身長、体重、問診などを行いました。

2~3時間で、血液検査の結果が出るので、健康診断の所要時間もそれくらいになりました。

終わった後は、確か3千円か4千円くらいもらえました。

━━健康診断当日に気をつけたことは?

尿検査があるため、いつもより、水分を摂取するようにしていました。

朝一番絞り濃厚おしっこですと、おしっこの取り直しがありますので。

軽く黄色がかった透明に近い、冷静と情熱の間が理想です。

あと、当日は朝からお酒を入れたくなるんですけど、飲まないことが大切です。

変な機械に息を吐きかけて、アルコール検査を行うところもありますので。

それと、この時に、今回の治験で扱う薬の説明がありますので、しっかりと聞いておくことですね。

ジェネリックなんかだと、比較的安心だと思いますけど。

治験中に看護師同士の話で聞いたんですけど、神経系に関わる薬や、ヒスタミンは避けたほうが良いみたいな話をしていました。

━━実際に被験者に選ばれるのは、健康診断後ですよね。

そうです。

健康診断では、入所予定人数の倍近くを募集しています。

そこから、理想の数値に近い人たちが選別されていくようです。

数日後くらいに、施設から連絡があるので、そこで合格したかどうかが判明します。

この電話連絡は、施設によって違いがあるんですけど、施設から連絡があるパターンと、自分から電話をするパターンがありました。

電話がかかってくると緊張する自分にとっては、指定された日の、何時から何時までの間に電話をする後者のスタイルがよかったですね。

━━それではいよいよ入所ということですか?

そうですね。

最初は、入所ではなく入院とでもいうと思っていたんですけど、入所というらしいですね。

響きだけ聞くと、刑務所にでも入るように聞こえますけど、ジャニーズ事務所に入ることだって入所って言いますからね。

━━どのような装備で行きましたか?

下着類を中心に揃え、パソコンやタブレットを持っていきました。

施設側でパジャマなどは用意してくれていますし、シャンプーなどを持っていく必要はありませんでした。

洗濯機と乾燥機もありましたので、暇をつぶせるものを忘れないことが大切かもしれません。

━━初めての入所はどうでしたか?

最悪でした。

━━最悪?

はい。最悪でした。

3週間くらいの比較的長期の治験でしたけど、最悪でした。

━━具体的には?

まず、血圧測定が嫌でした。

その治験では、朝、昼、晩と3回くらい血圧測定があったんですが、特に晩の測定が嫌でした。

看護師の方たちの中に、ひとりだけ苦手なタイプの方がいまして。

女性の方なんですけど、威圧感があって、目つきが怖くて。

起床時間の10分以上前に、強制的に起こしてくるのもこの方で、被験者の間でもすこぶる評判が悪かったです。

それで、被験者は大部屋にベッドを並べられているんですけど、入り口側から順に血圧測定していくんです。

それで、しょっぱなの人が、その看護師が血圧測定するときに、緊張か何かわからないですけど、エラー出しちゃいまして。

━━wwwww。

笑い事じゃないですよw。

看護師の方は穏やかに接していましたけど、明らかに目が笑っていなくて。

「何でこんなに高いの?」

「緊張してる?」

みたいな言葉をかけるんですけど、いや、あなたのせいですやん。

って、大部屋のみんな思っているわけですよ。

もちろんね、入所して最初の血圧測定から皆さん緊張していたわけではないですよ。

4~5日経って、だんだんと看護師の方たちの人となりみたいなものがわかってきてからの話です。

何か、あの看護師、苦手ですわ。

みたいな空気が形成されつつあって。

それからですよ。

例の看護師の時だけ、血圧計がエラー音を発するようになったわけで。

もちろん、私もエラーを出したひとりです。

━━それほどに嫌でした?

そうですね。

もう、その人の声を聞いただけで、緊張して、手汗が止まらなくなっていましたから。

毎日、友人にメールして励ましてもらってました。

あとは、血圧を下げるツボを調べて、もみもみしてたんですけど、全然効果はなかったですね。

その看護師の時だけ、5人くらいはエラー出していましたね。

自分より前の人が、先にエラーを出しても緊張が高まってしまうんですけど、エラーが出ていなくても緊張が高まってしまっていましたね。

(自分が今日1のエラーを出してしまうかもしれない)

と思ったりして。

もう、負のループに入っていましたから。

一番酷いときは、血圧測定器の車輪が回る音が聞こえただけで心拍上がるようになっていました。

━━他に最悪だったことは?

留置針です。

━━留置針? ずっと針を刺した状態にしておくやつ?

そうです。

点滴の時のやつみたいなやつです。

━━冷奴?

ひややっこのやつではないです。

血液採取が多い日がありまして。

これは、投薬日と同じ日になるんですけど。

やっぱり、薬飲んだあとは、30分後や、1時間後みたいな短い時間で血液採取がありまして。

そうなると、その度に針を腕に刺して、という風にはできないんですよ。

一日終わるころには、腕だけ見れば立派なヤク中になること間違いなしですから。

それに痛いし。

ですから、奥さん。

そこで留置針の出番なわけですね。

今なら何と、朝に一発痛い思いをすれば後が楽!

一発入れて、楽になろうや!というわけですね。

━━でも、お高いんでしょう?

値段は分からないですけど。

この留置針をいれるのを、看護師の方たちがやったんですけど、まぁ、正直申しますと、上手い下手がありまして。

看護師の方も緊張しているんでしょうね。

息遣い荒くしながら、いつまで経っても針を入れられない方もいまして。

やっとのことで血管に入っても、それが痛くて痛くて。

私は最初、この痛みを伴うものこそ、留置針だと思っていたんですけど、上手い方がやると、つけているのも忘れるくらい快適なんですよね。

━━量の多い日も安心?

そうですね。

で、その快適さを知ったあとなんですけど。

痛かったら、しばらくして違う方に付け替えてもらったりしていました。

実は、留置針の嫌だったところというのは、この点だけではなくて。

嫌だった8割くらいは、また例の看護師が関係しているんです。

留置針入れるための血管は、指先を温めることで拡張されて、スムーズに針が入るようになるんですけど、

この看護師のいる施設では、温めるための術や、道具の一切を与えてくれることはなかったんです。

私は、この施設が初めての治験でしたので、お湯や、自らのケツで温めるなど技巧を凝らしていたんですけど。

違う施設に行った時、留置針入れる前に、ホットパック渡してくれたんですよ。

これで指先温めてくださいって。

しかも、針入れるのも医者の方で、スムーズで痛くなくて。

看護師の方も、必要以上に干渉してこないところでした。

━━他の施設を知る前でしたから、辛かったでしょう?

そうですね。

針が入りにくいことで、例の看護師はあきらかに機嫌が悪くなっていましたし。

まるで、自分の肉体全てを否定されているような気分になることもありました。

落ち込みましたよ。

━━他に嫌だったことは?

お散歩。

━━お散歩?

長期の治験によっては、投薬のあと、数日完全な自由があるんです。

一度目の投薬が終わって、次の投薬まで数日空ける時なんか。

施設によっては、試験自体を3回くらいに分けて、帰宅できるようにするところもあるんですけど、

例の看護師がいるところでは違っていました。

帰宅しない分、お金ももらえるのでそれはよかったんですけど、なぜかお散歩させられたんですよ。

成人男性20人くらいが、白い肌さらして陽光の下を歩くわけです。

━━ぞろぞろと?

そうですね。

基本、こういうところで交友関係を広げる気はないので、その時間が結構嫌でしたね。

あまり喋ることもなく、街の中心地まで行って、バラけて、再び集合して、戻るって感じでした。

一時的に食事制限はゆるくなっているので、かんきつ類以外の食べ物なら自分で買って食べてもよかったですね。

引率の先生みたいに、看護師さん2人が私服に着替えて先導してくれるスタイルでした。

━━聞いてる分には楽しそうですけど。

こういうものを楽しめる人は、そもそも治験をやりにこないんですよ。

こういうものを楽しめない人たちが集まるんですよ。

だから、お互いに干渉せず、それぞれマンガを読んだり、美少女ゲームに没頭したり、映画を見たりしている、居心地の良い空間を演出できるんです。

━━それをぶち壊すのが例の?

そうです。

例の看護師の方。

この方には申し訳ないですけど、本当に嫌でしたから。

あとは、散歩の際なんですけど、保育園児のようなちびっ子20人くらいと、我々がすれ違ったことがあるんですよ。

それも嫌というか、なんだか自分が何のために生まれたのか考えて落ち込んだりしました。

━━と言いますと?

これから何にでもなれる可能性を秘めた保育園児たちと、成人して治験に行ってる集団との、残酷なくらいの対比がww

━━wwwww。

笑い事じゃないですよ。

笑顔浮かべて、都内の高級地域に住んでいる裕福そうなちびっ子と、我々ですよ。

きっとタワーマンションにでも住んでいるんじゃないですか?

こっちは都内の6畳くらいに住んでる貧乏人ですから。

ちびっ子が眩しくて眩しくて仕方なかったですから。

将来は国の重要なポストについたりするんじゃないですか。

━━逆によかったことはありますか?

マンガなどの娯楽が充実していて、例の看護師に関わることを抜けば、快適に過ごせたことです。

水周りも綺麗でしたし、何より、治験のイメージが大きく変わりました。

もっとアンダーグランドで、薄暗くて、蛍光灯がきれていて、前歯が無いような人が集められて、夕飯は残飯みたいな感じだと思っていました。

ですが、綺麗な施設で、辞めたくなったら退所できますし。

かつて抱いていた恐ろしいイメージはなんだったんだろうと思いましたね。

━━他に何かエピソードはありますか?

そうですね。

いくつかの施設を経験したんですけど、同じフロアに白人集団がいたことがあったんですけど、そこで我々はラジオ体操をやったんですよ。

で、白人が物珍しそうに見ていて恥ずかしかったです。

━━そうですか。

あとは、同じフロアの筋肉質な外国人が、日本人の病室をずっとのぞいてたのが怖かったです。

彼も怪しまれないように何度か通り過ぎてはまた戻ってくるんですけど、その度に鋭い眼光で品定めしているように見えて、結構恐怖でした。

━━おケツに力を込めなきゃ?

は?

━━他に何かありますか?

ボトラーを経験しました。

━━ボトラー?

そうです。

トイレは、ボトルで済ます。

ボトラーです。

━━なるほど。

治験で、体内のリンの吸収を抑える薬を使ったことがありまして。

おしっこは全て、指定のボトルに出す治験がありました。

もちろん大便は普通にトイレでしましたよ。

正直、これは大当たりの治験でしたね。

看護師の方も良い方たちでしたし、試験内容が何より楽でした。

ご飯も美味しかったですし。

ですから、自分に合わないと思った施設には早めに見切りをつけて、違う施設で再びトライしてほしいですね。

━━また治験を受けに行きますか?

そうですね。

一度、治験を受けたら次の治験までに3~4ヶ月空けなければいけません。

休薬期間というやつです。

昔は、施設同士のつながりがあまりなかったようなので、休薬期間なしで違う施設に行く人もいたらしいんですけど、やっぱりやってはいけないですからね。

それに、今は、施設同士で一部の情報を共有しているので、照会されれば一発でアウトです。

一応、ボランティアという身分で、社会に出る薬のための安全性を確かめるものですから、そこらへんは守らなければいけません。

━━最後に、気になるボランティア料は?

治験後、自分が指定した口座に振り込まれる形になります。

試験の種類にもよりますが、私が経験したことがある治験では日給換算で2万いきません。

18000円くらいですね。

━━ありがとうございました。

ありがとうございました。

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