年食ったババアでも活躍したいんだよ!誰かを救ってみたいんだよ!【2039プロトタイプ】

こちらの記事の続きです。

聞いてくれる?

誰も得しそうにない、年中ジャージ姿のババアの人生の一部について。

ババアっていっても、60後半ってとこだからね。

あんまり、おばさんとかババアって呼ばないでくれるとありがたいよ。

だから、こっからは、ババアよりはましなおばさんで呼んで頂戴よ。

おばさんもね、おばさんじゃない時代があったんだよ。

あんたね、いま笑った?

あのね、お祖母ちゃんいるでしょ?

お祖母ちゃんって、昔からお祖母ちゃんだと思ってない?

生まれたときからシワくちゃのお祖母ちゃんとして生を受けたと思っている節ないかい?

あんたね。

失礼だよ!

あんたのお祖母ちゃんにだって、ちゃんとピチピチギャル時代あったんだから。

まっすぐ純粋一途な気持ちで、誰かに恋することもあったんだから…。

 

かつて30後半だったおばさんの愛の着地場所

 

おばさんはね、子どもができなかった。

子宝に恵まれなかったってことだね。

あのね。

好きになった人がね、同性愛者だったってわけさ。

ゲイだったわけ。

結婚してるわけじゃないけど、今も一緒に暮らしているわけ。

ダンナって呼ぶと、嫌がる節があるから、おじさんとでも呼ぼうかね。

おばさんは、おじさんと、一つ屋根の下で一緒に住んでるわけ。

それなりに、幸せな日々を過ごしてるわけなんだけど、おばさんね。

やっぱり子どもが欲しいなって思う時もあるわけ。

ただね、パートナーのおじさんの嗜好からしても、おばさん自身の肉体からしても、そりゃもう厳しいってことはもう分かってるわけ。

わかってるのさ…。

ただね、授業参観行ってみたいとか、運動会の応援にお弁当もって参加したいとか、そういうこと考えちゃうわけ。

空っぽになったお弁当箱見て、にっこりしたいわけ。

でさ。

おばさんはおじさんと話し合ったわけ。

養子を迎えることはできないだろうかって。

 

2039年以前の、ある日。

 

一時期さ、赤ちゃんをコインロッカーに捨てることが話題になったことがある。

育てられないとか、色々な理由があるんだろうね。

コインロッカーに、赤ちゃんを託しちゃうわけ。

おばさんとおじさんは、仲は凄く良かったから、しょっちゅうデートと称して、東京内をうろちょろしていたのさ。

でさ、どこの駅だったけ。

コインロッカーから、赤ちゃんの泣き声が聞こえたわけ。

おじさんや、周りの人は気づいていなかったようだね。

ただ。

おばさんの耳には、しっかりと届いていたわけで。

おばさん、そのコインロッカーに猛ダッシュ。

幸いというのかね。

鍵はかかっていなかった。

扉を開けると、まぁ可愛らしい赤ちゃんがいたわけさ。

手紙が添えてあって、

「名前はシンです。どうか息子をよろしくお願いします。」

そう書いてあったのさ。

びっくりした?

あのね、日本にも本当にこういう時代があったんだよ。

 

コインロッカーベイビーズ

 

小説家の村上龍さんの著書に、コインロッカーベイビーズってのがある。

おばさんとおじさんの息子になったシンは、まさしくコインロッカーベイビーってわけ。

生まれはコインロッカー。

育ての親はおばさんとおじさん。

そういうわけで、シンは、中野シンとなったわけ。

 

おばさんの脳力

 

能力者が活躍するストーリーってあるじゃない?

何を隠す必要があろうか?

おばさんは、能力者ならぬ、脳力者です。

実の親でなくとも、シンを育てることができたのは、おばさんは脳力を使って、子育ての一部をすでに経験したことがあったからってわけ。

『おれがあいつで、あいつがおれで』ってお話知ってる?

山中恒さんの児童文学なのさ。

要約しちゃえば、女の子と男の子がごっつんこして、中身が入れ替わってしまうお話。

何を隠そう。

おばさんには、それに似たような脳力があるわけ。

しかも、物理的にごっつんこする必要がなく、一時的に対象と中身を入れ替えることができる。

しかも、中身を入れ替える対象は、おばさんより過去を生きている人でも、未来を生きている人でもオッケーというわけ。

つまり、時代を超えて、おばさんはあらゆる人と、中身を入れ替えることができるってわけなのね。

子どもを産んだことはないけど、子どもを育てた経験は、普通の人よりも多いのが、このおばさんってこと。

子どもを育てることが難しい時代って、いつの時代にもある。

自分ひとりが生きていくことすら難しい時代が、過去にはたくさんあった。

もしかしたら、未来にもあるかもしれないね。

そういう時代って、本当に、どうにもできないくらいの大きな力となって、一つの時代を覆ってしまうことがあるんだ。

おばさんはね。

そういう時代に「飛んで」、経済的に余裕のある人と入れ替わったりすることをよくしていたんだ。

それで、消えそうな命を、わがままに救ってその人のうちに迎え入れちゃったりしていた。

「ある人」からしたら、いつの間にか、養う子どもが増えちゃってるわけ。

おばさんの脳力も決して万能じゃないから、入れ替わった「ある人」から離れなきゃいけない時間も必要になるわけ。

だから、離れなきゃいけない時間が本当に不安で、心配で、もどかしかったのを、今も、本当に覚えている。

でも、脳力の限界が解けたときは、すぐに入れ替わって、子どもを育てていたよ。

その子がね。

一丁前の大人になって、家庭をもってくれたときなんかは、本当に嬉しくて、おばさん、泣いちゃったことが何度あったことか。

でも、同時に寂しくもあるんだよね。

おばさんの役目はひっそりと終わって、次の世代が育っていく。

そこに、おばさんはいないんだよね。

実体としてのおばさんはいないんだ。

中身が入れ替わっているだけだから、大切な時間の全てを、その実体の全身で感じてるわけではないからね。

嬉しいけど、少し寂しい。

おばさんは、身勝手ながらに脳力を使って、勝手に喜びを感じたり、寂しさを感じたりしている。

そんな人生を過ごしてきました。

だから、コインロッカーでシンを見つけて、中野シンとして彼を迎え、成人するまでのすべてを見届けることができて、おばさんとおじさんは本当に、もうどうしようもなく嬉しかったわけ。

シンは昔こんなことをよく言っていたよ。

物心ついてから、シンはたまにおばさんとおじさんを見てこういうの。

「ボクってお母さんとお父さんとあんまり似ていない気がする」って。

おばさん、おじさん。一瞬、ドキッとするんだけど、その度にこう言ってました。

「川の下で拾った」
「コインロッカーの中で泣いていたところを保護した」

そんな風に、からかったのです。

 

シンからの連絡

 

成人し、社会人となったシンから連絡があったのさ。

何でも、

「不思議な力を手に入れた」

「どうしても救いたい子がいる」

そんな風に、まくし立てるわけさ。

そして言うのさ。

「母さんの力をかしてほしい。」

可愛い息子に言われて、かさないわけが、どこにあるんだい?

手をかすに決まっているじゃないか。

なんてって、おばさんは、あんたのお母さんなんだからね。

詳しく話しを聞かせて頂戴。

おばさんは、そういって、シンから話を聞きました。

Eillykun
to be continued…のはずでしたが、物語の破綻に気づいたため、これは一旦終わりです。

Article written by 2039 pictures